ラヴをシャウト by 澤部



世界の中心で、愛をさけぶ」を観る。
昔、小説をほんのちょっとかじって、すぐ飽きてしまったのだが、
僕の信頼できる筋の人が2,3人「あれは泣けるよ」と言っていたので、
思い切って見てみたのだが、あんまりいい映画ではないような気がした。
なんか新鮮味もなかったし、泣けなかった。
良い悪いは解らないけれども、音楽が情景に合っていなかった。
これで賞とか獲れるのか…。と僕は本気で頭を抱えてしまう。
なんてかっこ悪いんだ。ああ、やってられん。
あと、すごく「いやらしい映画」という印象が残っている。
「純愛」なんていうのは誇大広告なんじゃないか。美しくない。
僕にとっては「月光の囁き」の方が真っ当な「純愛」映画だ。
(ちなみに、『お前が死ね』『やっぱ、ジンジャエールがええ』
など、「月光の囁き」には胸を打たれるセリフが多くある)
これほど書いてしまったが、それでも一番印象に残っているシーンが、
亜紀を見下ろす屋上で焼きそばパンをほお張る朔太郎だったことは、
見終わった後、してやられた。と感心させられた。


あとやっぱり思うのが、恋人が死んで、忘れられなくて、だからなに。
という複雑なしこりが残った。悲痛なだけなら誰だって泣くわ。
でも僕にとってはボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」の方が悲痛。
あの小説は恋人が死ぬだけではない。
最期まで愛した人間がどこへ行ってしまうのか。
彼らには解らなかっただろう。