ここだよ by 澤部



僕らの時代のひとつの終焉。
破壊ではなく、穏やかに死んでいく。
時間が凍り付いていくのを僕は感じている。
溶けることはないような厚い厚い氷のなか、
思い出たちは、いつ、目を覚ますのだろうか。


友人とOBとで話す。とても楽しい。この辺はきっとこのままだろう。


学校は予行練習と朝礼。
校長の話は納得できん。
「強く生きていけ」みたいなことを言っていたが、
僕からすれば、あなたが「強く生きていけ」と言わせた彼女、
彼女のほうがよっぽど強い。僕らは彼女には勝てはしないのだ。


ファミレスで軽く旅行の計画をたてた帰り道。
霧雨が街をだらしなく塗りつぶしていく。
僕は6年間の思いをかみ締めるように、光の点を軌跡で繋いでいった。
耳元で少しくすんだ音のyes,mama ok?に泣かずにいられるわけはない。


もうOさんの声で授業が始まることもなければ、
Nとの音楽話を始業のチャイムが切り裂くこともない。
ましてやMやMと制服を来て無茶することもない。
さらには廊下ですれ違うYやKやNに声をかけることもかけられることもなくなる。
Uに漫画を貸すこともなくなるのかぁ。


僕が大きな声で「ここだよ」と歌ってみても、
誰が振り向いて抱きしめてくれるだろうか。
サンキュー、6年間。愛してる。また逢おう。明日の卒業式で逢おう。