愛のことば by 澤部



音楽を聴いている。
ボリス・ヴィアンの「心臓抜き」を読みながら。
音楽は目まぐるしいほどに変えながら聴いている。
たとえば、30分前は小島麻由美さんの「さよならセシル」をかけていた。
でも10分前には小沢健二さんの「eclctic」に変えた。
目くるめく音楽に確固たる世界。
音楽が変わってもジャックモールたちのいる世界はなにも変わらない。
どんな音楽を聴きながらでも小説の世界に吸い込まれている。
音楽はあってないようなものかもしれんが、それでも聴く。
無条件で僕を受け入れる音楽はもはや麻薬のようなものなのか。
それはいやだなぁ。


僕の見てきた景色は無駄ではなかったのだろうか。
無駄なものなどひとつもなかったのだろうか。
『簡単に「面白い」とか「よかった」とか「最高」とか、
最近自分でも安易に言ってる気がしていている』
昨日の豊田さんの日記に書かれていた文。
それは僕も常々考えることだ。
盲目的になっていないか?と不安になるのだ。
だが、そこを詰めていくと、自他に閉鎖的になっていくような気がしてしまう。
新しく何かを受け入れられなくなる、というのはとても怖いことだ。
そして自分を高みに持ち上げる人間になってしまう。
すべてはプライドの名の下に。
僕は昔「豊田さんみたいにはなりたいと思えない」と書いた気がするが、撤回。
すべては憧れの名の下に。
そういう風に思うのはそもそも間違いだとは思うんよ。
彼みたいになれたら、今の状況をどう変えようとするのか。
歌うことだけで、やってのけるのか、とか。