パンクロック by 澤部



僕の心にあった初期衝動は枯渇してしまったのかもしれない。
世界がとても汚く見えるのにやさしい。
僕の死んだような目から流れるのはカウパー腺液なんかではない。
そうです、皆さんご承知の涙です。
パラガの「海を知らない小鳥」をギターで弾きながら唄う。
豊田さんの曲をギター弾きながら唄うときはピックは使わない事が多い。
僕はストロークが結構あたりが強くてクセがあるので、
指でピックの形を作り、ぼそぼそとした音で唄う。
僕はやはりまだ子供なのかもしれない。
最近は少しは大人になったかも、と思っていたのだが、
この曲の歌詞に出てくるように「あんたはホンマの変態」と、
抱いた女に言われたこともない。
ましてや女を抱いたことすらもない。
更には女子に「澤部はねぇ、変態さが足りないね」とまで言われた。
事実というものはどこまでも僕を突き放す。そしてあまりにも冷酷。
すっかり冷めた紅茶を飲み干して僕はまたギターを弾き出す。
これから先、言葉で人を突くことができるだろうか。
僕が愛する音楽家がそうであったように、僕もそうありたいのか。
僕の音楽に対する敬虔。
逆恨み、ととられるか。冒涜、ととられるか。
僕の音楽に対する敬虔、それは幻なのだろうか。
とか長ったらしく書いたけど、
僕が言いたいことは結局はこんなことじゃないんですよ。
言いたいことなんてないのかもなー。


時計の針を気にせず一日が過ぎた。
これを世間はニートというのかもしれない。
それは困る。家を出よう。明日は家を出て勉強しよう。
といっても行くところなんざ図書館くらいかもしれない。


風呂に入りながらラントスターの「YouAreFree」を聴く。
以前、ラントのライブにいったら女性が多かったと思うんだけれども、
あのタフな演奏は男こそ聴くべきだと思う。
音源を聴いたならライブを体験しておくべきだ。
汗だくになりながら唄う高津さんの姿を見て、
熱くならないような男はパイプカットしても、
誰も文句を言わないかもしれない。