これ以上何をいえってんだよ by さわべ

feelingroovy2004-12-09



試験初日。
僕はいつものどおりに徹夜明けだ。
曇りがちな日のBGMは大抵「犬は吠えるがキャラバンは進む」だったりする。
今日もそうだった。所々で曲を飛ばしながら。
地下鉄成増
有楽町線に乗り込んだのは、8時ちょっと前。
そのときには曲はすでに「天使たちのシーン」だった。
僕は電車に揺られながら歌詞を噛み締めて聴いていた。
 「生きることを諦めてしまわぬように―」
泣きそうになるほどの必殺フレーズだ。
電車が氷川台に差し掛かった頃、アナウンスが入った。
なにやら人身事故があったらしい。
アナウンスは何度も繰り返す。
―8時4分ごろ、護国寺駅において人身事故が発生しました。
お客様は即死で―運転再開には時間がかかりそうだ、と。
おお。そうか。こんなきれいな曲を聴きながら、そう思っていた。
鉄道自殺。そうきいて思い出すのは、高野悦子二十歳の原点
全部読んだことは無いが、以前板橋中央図書館で立ち読みしたことがあった。
「私の自我はあまりにも弱い」みたいな感じだった。
やりきれない感情を抱いたことを覚えている。
そして、今日。
試験をソツなくこなし(もちろんだめだめだった)、報告を受けた。
今朝自殺した女性は知り合いの女性だった。
さっきわかった。おもいだした。集合写真が出てきたのだ。
多分2年位前の写真。彼女の表情に、屈託は無い。
最初に報告されたときは、思い出せていなかった。
同じクラスや委員会はあっても多分、話したことは…ないと思う。
だが、なじみの風景から人一人分のスペースがなくなった。
昔、なんかの漫画だか小説だか音楽だかで「人は出会いと別れを繰り返し大人になる」みたいのがあって、
好きな作家だったけど、なにいってんだ、とか思ったことがあった。
でも反論する言葉がなかった。
今なら、言葉はいくらでもある。
しかし、それらを構成できる落ち着いた判断力がない。
精一杯紡ぎだした言葉、
誰かが犠牲になって残された人間が大人になるなんて、不公平すぎる。